• 漆器屋さんのつぶやき

    心に残る、心に響く、ささやかだけど彩りのあるできごとを徒然なるままに•••

    September 7, 2025 · 夏の終わり,子どもの夏,過ぎゆく季節,乾いた風,心地よい季節
    肌を撫でる風を心地よいと感じたのは、ずいぶんと久しぶり。 あの夏の温風ヒーターのように熱気をはらんだ息苦しい風とは違う。 アスファルトの照り返しは残っているものの、その熱さえすでに峠を超えた。 空を見上げてみれば、ドヤ顔で湧き上がるような真っ白な入道雲はもうどこにもない。 白い水彩絵の具を薄く塗り拡げたような柔らかな雲の帯が高く、高く広がるばかり。 婚活に出遅れたセミが叫んでみても風の音にまぎれてしまう。 焦げ付くような暑さをもたらした夏は、静かに立ち去ろうとしていた。 子どもの頃、お盆が終わると朝晩はすっかり涼しくなって、夏休みが...
    July 30, 2025 · 長く続く友情,手作り,グリーティングカード,時を越えて
    30年以上もの長きにわたり、誕生日とクリスマスの2週間前になると、必ず届くものがある。 その間、私は4度も引越しをして住所が変わった。それでも一度も欠かすことなくやってくる。 それは、手作りのグリーティングカード。 極彩色で描かれた動物や植物、時には開くと飛び出す仕掛けや、キラキラと細かいスパンコールがこぼれ落ちてきたり。 そんなアイデアに満ち溢れたカードは、どんな時でも私に微笑みをもたらしてくれる。 そして、そのカードには、これまた手作りの便箋に両面びっしりと書かれた近況を知らせる手紙が、もれなく添えられている。 彼女と私は遠い昔、サンタモニカでたった1ヶ月だけクラスメートだっ...
    April 24, 2025 · 上村松園,理想像,美人画,女性の美,着物
    静謐な美しさの中に凛とした強さを感じさせる女性たちに会いたくて、大阪中之島美術館を訪れました。 生誕150年記念、上村松園展《求めたのは理想像》 「美しいものだけでなく、醜いものでも下賤なものでも、それを露骨に顕さず格調を持って表現している芸術は能の他にはない。画もそうでなくてはならない」 狂気をよびこむほどの感情さえ美しく表現してしまう、懐の深さと強さを併せ持つ日本画家、それが上村松園です。 彼女が描いた女性たちは、美しい衣装を身にまといながらも憂いを帯び、あるいは眦をあげ、さらにはすべてを包み込んで前を向く強さを秘めています。 かくありたいものだと、うっとり眺めておりま...
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