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ふれていたい、抱きしめたい•••

· 大切な人,大切な人とのふれあい

とおいむかし•••

 

初めてその異国の地におりたったとき。

そう、私の名前とWELCOMEの文字が書かれたボードを持つ人に

 

はじめまして

 

と、挨拶をしようとした瞬間

ギュッと抱きしめられて、目の前は暗くなるわ驚くわ焦るわ•••

それから会う人、会う人、ハグの嵐だった。

 

不慣れな言葉と緊張でガチガチに固まった私を

みんなは盛大な笑顔で抱きしめてくれた。

ホストファミリーはもとより、近所の人から小さな子どもたち、

学校の先生や買い物しながら立ち話したおばちゃんに至るまで

いろんな人がぎゅって抱きしめてくれたから、

1年もするとすっかりハグ慣れ。

 

 

それは帰国してからも密かに続いていた。

 

いってらっしゃいぎゅっ、おかえりなさいぎゅっ、おやすみなさいぎゅっ、

ママのハグに付き合ってくれた息子たちには、本当に感謝している。

 

そんな息子たちも大きくなって、ウチにはたびたび留学生が滞在するようになっていた。

彼らは日本に来る前に、日本文化や習慣などのオリエンテーションを受けてくる。

 

日本にはハグする習慣はないのでハグしてはいけません。

 

と、注意されるそうだ。

 

駅や空港に迎えに行ったとき、我が家の玄関に初めてたったとき

条件反射で出た両手をあわてておろす姿を何度も見た。

目があって笑顔がはじけたのに、

あ、しまった、という表情になるのが切なかった。

 

だから、ウチではハグ解禁。

 

いくらママハグに慣れているからといっても

きれいな金髪のお姉さんにぎゅうぅぅぅってされたら

そこはやっぱりシャイな日本男児の息子たち。

それでも慣れていくものです。

 

久しぶりね、元気だった?

会えて嬉しい、楽しかったわありがとう。

そんな感じで理解ある友人には、ちょくちょくハグっていた。

 

ところが•••

 

コロナってやつが、人とのふれあいを奪っていく。

 

マスクで顔を覆っているから表情がわからない。

近くで話してはいけません。

耳元でささやくなんてもってのほか。

ハグなんてとんでもない。

 

入院しているおばあちゃんに会うこともできず、

ましてや手をにぎることもさすってあげることも

できない。

 

人とふれあうことの大切さを思い知った1年だった。