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それはそれは小さな、

気をつけて探さないと見つけられない珈琲豆屋さん

· 珈琲豆,こだわり

香りよ〜し、

味よ〜し、

指差し確認するかのように、毎朝のルーティーンになっているのは

朝一番の珈琲。

まだ半分寝ぼけているようなアタマとカラダに

ここちよい香りと、ほろ苦い味覚をあたえてくれる。

それが、思いがけずやってきた災難から逃れていることを確認する手だてになるなんて。

この習慣は帰省したときも変わらない。

実家に帰るとまず珈琲豆を買いに行くのが、いつしかお約束となっていた。

それでも自然豊かな、いわゆる田舎と呼ばれるこのエリアで美味しい珈琲豆をさがすのは

なかなかに大変なことだった。

そんなとき、地方創生事業がらみの商品券を手にした妹が

「こんなところに珈琲豆を売っている店があるみたいなの」

こんなところとは失礼極まりないけれど、

たしかにそこは気をつけて探さないと見つけることのできない場所だった。

それに、この辺の人は珈琲より日本茶を愛していそうだったしね。

車でないと来られないところなのに、車に乗っていては見つけられない。

グーグルマップは近いぞと訴える。

私と妹は車を降りて、歩いて探した。

珈琲の香りが、そこはかとなく漂っていたから

クンクンとワンコよろしく探し回り

ようやく、植木の奥に小さな小さなお店らしきものを探しあてた。

店の奥から現れたのは、意外にも小柄な女性。

人もロクに通らないようなところに専門店をひらくなんて

きっと気難しい頑固ジジイ、くらいに思っていたから

ちょとした驚きだった。

こんがり香ばしい匂いでいっぱいの店内

種類はそれほど多くないけれど

深めに焙煎された好みの豆に胸が踊った。

大好きなマンデリンは、と見ると

ケースは空になっている。

「マンデリンは品切れですか」

そう尋ねると、

「いましがた焙煎し終わったところなので、少しお待ち頂けますか」

彼女は、浅い箱のようなものの中に豆をだして

ひとつひとつ、手で豆を選り始めた。

仕上がりの悪いものを取り除いているようだ。

この様子、まえにどこかで見たことがある。

そうだ、真珠の養殖をしている会社を訪問した際

おなじような箱にはいった真珠を色やサイズ、出来具合などを見ながら

ピンセットでひとつひとつ選り分けていたのだ。

あの姿に似ている•••

納得のいく豆だけを選んでいる彼女の姿にドキドキした。

そして今日、宅配便で彼女の珈琲豆が到着した。

中には珈琲豆と可愛い柚子が入っていた。

彼女の実家の庭でとれたものらしい。

ほったらかし、という名の無農薬柚子なのだとか。

香りの良いオマケにクンクンと鼻をならして

今日も健康だと確かめている。

 

 

丁寧なお仕事をなさる彼女の小さな珈琲豆のお店はコチラです