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時をかける手作りカード

· 長く続く友情,手作り,グリーティングカード,時を越えて

30年以上もの長きにわたり、誕生日とクリスマスの2週間前になると、必ず届くものがある。
その間、私は4度も引越しをして住所が変わった。それでも一度も欠かすことなくやってくる。
それは、手作りのグリーティングカード

極彩色で描かれた動物や植物、時には開くと飛び出す仕掛けや、キラキラと細かいスパンコールがこぼれ落ちてきたり。
そんなアイデアに満ち溢れたカードは、どんな時でも私に微笑みをもたらしてくれる。
そして、そのカードには、これまた手作りの便箋に両面びっしりと書かれた近況を知らせる手紙が、もれなく添えられている。

彼女と私は遠い昔、サンタモニカでたった1ヶ月だけクラスメートだった。
振り返れば、二人だけで出かけたことは一度もない。ただ学校で会って話をする。それだけの関係だった。だから、私と彼女の本当の付き合いは、彼女が結婚した後のほうがずっと長いと言える。彼女から「結婚してロサンゼルスに住んでいる」と連絡があった、その年のクリスマスカードがすべての始まりだった。

いつしか、季節の移り変わりを彼女のカードが教えてくれるようになっていた。
息子たちが幼い頃は、彼女は彼らを「王子様たち」と愛情を込めて呼んでくれた。
息子たちがバスケットボールに夢中だと伝えれば、彼女はNBAの英字新聞記事をどっさり送ってくれた。
小さかった王子様たちも、今ではすっかり大きくなって立派なオジサンになりつつある。

自分自身でさえうっかり忘れてしまいそうな誕生日を思い出させてくれるバースデーカード。
子どもたちが巣立ち、クリスマスの飾り付けをしなくなっても届くキラキラしたクリスマスカード。
その一つ一つに、私のことを忘れずに覚えていてくれたことへの感謝と、温かい喜びが込み上げてくる。
このカラフルなカードが届くたびに、遠いサンタモニカの空の下で出会った彼女との、色褪せることのない絆を感じている。

そして、随分と前に年賀状をやめてしまった私が、年に2回、彼女に長い長い手紙を書く。
それは30年以上前に始まった、時を絆ぐかけがえのない時間でもある。