サンタクロースは絶滅した•••
と、思っていた。
ウチの担当のサンタさんは、高齢のためトナカイのソリに乗れなくなってしまいました。
そんなわけで、来年からウチにはサンタさんは来ません。
と、小学生の息子達に宣言した日から、サンタクロースは絶滅危惧種となった。
彼らは周りの友達からなんと言われようと、ウチのサンタクロースは本物だと信じてくれていた。
そんな彼らもすっかり大きくなった。
クリスマスという経済イベントについての考察を展開できるほどに。
そして、いつしか私の世界からサンタクロースの姿は消え去っていた。
と、思っていた。
ところが、今朝。
眠いながらも布団から出した手に触れるものがある。
寝ぼけていてよく分からないけれど、とりあえず、なにかある。
昭和生まれで、地方育ち。
幼稚園はお寺の経営。
小学校は、5月にはお田植え休み、9月には稲刈り休みがあるような純和風木造建築。
サンタクロースは煙突のある家にしか来ないと教えられて育った。
およそ、枕元にプレゼントが届くような経験などなかった。
それでも、クリスマスには奇跡が起こる系の映画には涙腺が緩む。
1年中で最も夢見がちになる夜。
そんな夜に憧れた女の子がママになると、巧妙なサンタクロース捏造工作を遂行する。
そのかいあって、ウチの息子達は私の身長を超えるほど大きくなっても、
サンタはいると信じてくれていた。
それでも限界はある。
あいつサンタクロース信じてるんだぜ
そんな声が聞こえてくると、イジメの原因になるんじゃないかと不安になる。
ママはいつでも心配症だ。
その挙げ句の、サンタさん定年退職宣言。
そんなこんなで、ロマンチックなクリスマスもサンタがデリバリーしてくれるプレゼントも
私の人生から消えてしまった。
と、思っていたのに•••
新米サンタとその彼女が、
遠い昔に諦めてしまったものを枕元に届けてくれた。
伸ばした手の先でガサゴソと音がする。
大きなリボンがついた極彩色の袋。
状況確認に時間がかかったのは、
こんなこと初めてだったから。
クリスマスには奇跡が起こる。