サイトへ戻る

パンケーキ屋さんに行きましょう

 

パンケーキ屋さんで渡された1枚の紙。そこには書かれていたのは・・・

· 気分転換,未来予想図,本当の願望,刷り込まれた願望,目標達成

「パンケーキ屋さんに行きましょう。」

唐突に彼は言った。

冬眠前のクマよろしく、寒い冬に向かって順調に脂肪を蓄えつつある私にとって

パンケーキ屋さんなんて、悪魔の誘惑以外のなにものでもない。

いや、史上最大のデブだし、と渋る私に

「そんなこと言ってるけど、いっつも焼き肉やらパスタやらバクバク食べてるじゃないですか」

いや、そういうことじゃなくて

と、彼は続ける。

同じ場所で、同じ机と椅子、

目に入る景色も、飲んでるお茶もマグカップも

ここ数日煮詰まっているいる様子も、

まったく同じ状態で、いったいどんなアイデアが浮かぶって言うんですか。

一言も返せない・・・

流行りモノに敏感な大学生に連れられて、

初めて訪れた大阪某所のパンケーキ屋さん。

白を基調とした店内は、ストリングスカーテンで仕切られた2〜4人用の個室がびっしり。

それらのほとんどを女性客が占めていた。

ベビーカーを伴うママ友グループや女子大生グループで華やかに賑わっていたのだ。

店内は甲高い女性の声に満ちていたけれど、

不思議なもので、カーテン1枚へだてるだけで妙に落ち着く空間になっている。

「たまには、いつもと違う場所でいつもと違うことをしないと考えなくなりますよね。」

と言いながら彼はマス目で埋まった1枚の紙を差し出した。

目標達成シート

中心のマスに、達成したいこと、なりたい姿など

自分にとって最も大切だと思うことを書き込む。

中心の周りの8つのマスには、それを達成するにはどうしたら良いのかを書き入れる。

その周りのマスには、さらに細分化した達成への手段や方法などを書き込んでいくのだ。

できますか?

そんな風に言われたら、意地でも埋めてやろうと思うじゃないの。

いとも簡単に挑発にのった私は、視界のすべてをマス目にうつした。

中心から黙々とマス目を埋めること約2時間。

パンケーキを食べながら、フリードリンクをあおりながら

ときには天を仰ぎながら、ひたすら書き続けた。

私は何をしたいのか。

私は何が欲しいのか。

私はどんな風になりたいのか。

誰かに刷り込まれた価値観や見栄や外面だけでは

とうてい、このマス目は埋められない。

最も大切だとする目標を達成するための8つの方法と

さらにそれを実現させるための8つの手段。

トータル81のマス目を埋めるこの作業は、

表面を取り繕うだけのキレイゴトだけでは書ききれない。

もし途中で書けなくなったら、それは本当にやりたいことじゃないかも知れないってことだ。

書いたり消したり、付け足したり、カタマリごとけずったりしながら

すべてのマス目を埋め尽くした私は

かなりのドヤ顔になっていたことだろう。

どうよ、と差し出した私に

彼はあっさりと返した。

「これね、5枚目くらいから良いモノできるらしいって話しなんですよ。」