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怖いもの知らずは、無知なだけ

· 海外留学,無知,危機管理,怖いもの知らず,landlady

有難いことに、留学していた2年あまりの間、

知っている人が誰一人いない場所にも関わらず、

ありとあらゆる国の人に、ずいぶんとお世話になった。

 

 

ロサンゼルスでの最初の大家さんは、中国人のおばちゃん。

文字通り、おばちゃんという響きがぴったりのべらんめえな独身中年女性。

 

 

それは、言葉も不自由、慣習も知らない、平和ボケ、の三重苦の私が

初めて家賃を払いに彼女の部屋の呼び鈴を鳴らした日のこと。

その日私は、初めての家賃を払うために

クレジットカードを使って街のATMで現金を引き出していた。

一度に40ドルしか出せなくて、同じATMで20回ほど出金手続きを繰り返していた。

20ドル札をワサワサとバッグに入れて、バスを乗り継いで彼女の住まいへと向かった。

ドアを開けた彼女に促されるまま椅子に座り、おもむろに現金を取り出した私に

突然彼女は、烈火のごとく怒りだした。

 

 

いったいオマエは何を考えている?!

死にたいのか?!

 

 

街中のATMで現金を引き出したと知ると、さらに激しく怒鳴り始めた。

 

 

オマエはアホなのか?

ここをどこだと思っている!

1ドル目当てに人を殺して平気なヤツがいるようなところで

オマエのような小娘が大金を引き出して

ここまで生きて辿りつけたことが奇跡だ!

分かっているのか、おいっ!

 

 

ネイティブではない英語の方が聞き取りやすくて

彼女の言っていることはだいだい理解できた。

が、そのあまりの勢いに目がテンになり、一言も発することができない。

きっとそれ以外にもいろいろ言っていたとは思うが、

途中からはよく憶えていない。

ただただ、呆然として

あぁ、そうだよね・・・

と、反省とも後悔ともつかない情けない気持ちでいっぱい。

彼女はずっと何か叫びながら別の部屋から紙とペンを持ってきて

 

 

いいか、よく聞け!

 

 

ペンで机をカンカンと叩きながら、

銀行で口座をひらくことと、個人用の小切手をつくる方法を教えてくれた。

それからその紙に住所を書いて

 

 

来月からは、この住所に小切手を郵送しろ。

現金を持ち歩くようなマネは二度とするな!

まだ銀行は開いている。

ボーっとしてないで、いますぐに行け!

 

 

危機感のない平和ボケした日本人留学生に、

危機管理の最初の一歩を教えてくれた中国人の大家さん。

 

 

そして、その次の週には、

ホントにこんなことが現実に起こるんだという事件に

ニアミスする。

朝、いつも乗るバスが来ない。

ここは日本じゃないから30分やそこら遅れても驚かないぞ、と

待ってみるが、ゆうに1時間過ぎていた。

 

その時通っていた学校は遅刻と欠席に厳しかったから、途方にくれた。

歩いていけば2時間はかかりそうだ。

 

増えていくバス待ちの乗客も文句を言いながらバス停を離れない。

ということは、他に方法がないってことなんだと思った。

そうして、2時間以上過ぎた頃にバスがやってきた。

 

 

遅刻確定。

 

 

学生課へ出頭してなんて言おうかと、バスの中で悩んでいた。

 

アヤシイ文法と足りないボキャブラリーが恨めしい、という顔をしていたに違いない。

学校は、いつもよりザワザワと騒がしかった。

 

すると、教室にも寄らず学生課へ直行した私を見つけて

担当のスクールカウンセラーが走り寄って私を抱きしめた。

 

 

あぁ無事だったのね、良かった。

 

 

は・・・?

 

 

私がいつも乗るバスが、バスジャックされたらしい。

 

え、ホントに?

映画じゃなくて?

そんなことがホントにあるんだ・・・

 

 

大家さんのおばちゃん、ありがとう。

因果関係はないけど、なんだかすごく感謝した。

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